能登の震災をニュースで見ていて、道路が寸断された地域のおじいさんが生活物資を2時間かけて運んでいる、という報道がありました。自転車も含めて車両って、道路がないと使えないんですよね。私が住んでいるのは市街地なので孤立ってことは無いと思うんですけれど、徒歩でもある程度の物資の運搬くらいは出来るようにしておきたいものです。

で、世界中の軍隊の基礎訓練で行われるラックサックマーチを自転車のオフシーズントレーニングにやってみようという思いつき。

ラックサックマーチとは

ラックサックとはリュックサックのことみたいで、つまりリュックを背負って行進するのをラックサックマーチと呼ぶようです。

普通のウォーキングと違うところはリュックに重り満載で歩くところで、高強度の有酸素運動に加えてウォーキングでは鍛えられない上半身の主に体幹も鍛える事ができます。検索してもあまり情報が出てこないのですが、英語で調べるともうちょっと情報が出てきます。ラックマーチ、ラッキングなどとも呼ばれるようです。ラッキング専門ブログとかラッキングギア専門店などもあるみたいです。

普段から冬場は徒歩で通勤してるんですが、ウォーキングに比べると負荷が高いラッキングでは身体機能の強化も期待できます。

  • 心肺機能
  • ハムストリング
  • 体幹(腹横筋・脊柱起立筋群)
  • 僧帽筋
  • ついでに姿勢改善

この辺の筋力と持久力が同時に鍛えられるとのことで、自転車のオフトレにも向いてるのでは?と思い取り入れてみました。

必要なもの

要するに高重量のウォーキングですので、最低限下記の3つがあればすぐに始められる気軽なトレーニングです。

  • リュックサック
  • 重り
  • 頑丈な靴

リュックサック

結構な重さを入れることになるので頑丈なものがよいのですが、本体の頑丈さというよりも身体にかかる負担を軽減できるリュックがいいと思います。

  • 肩ベルトストラップが幅広
  • ウエストベルトも幅広
  • 高い位置で背負える
  • 荷物をぎっちり締める事ができるバックルストラップ付き
  • 少し大きめの30~40L

長時間背負って歩くため、この辺の機能がしっかりしたもの。となると登山用のリュックが入手性もよくてオススメです。私は2000年頃に買ったLOWE ALPINEの40Lリュックを使ってます。↓こんなの。

あとで詳しく書きますけど、次の2タイプはラッキングには不向きです。

  • ❌ウーバーイーツみたいな箱型リュック
  • ❌肩紐長めで腰だけに当たるおしゃれリュック

容量は任意ですけれど、2Lのペットボトルが縦でも横でも入るサイズが使いやすいと思います。

重り

正直重ければなんでもいいんですけど、手頃なのは水ですね。2Lペットボトルにいれて調整もしやすいし、積んでみてキツかったら水だけ捨ててもいいし。ラッキングガチ勢は「容量の割に重くならない」という理由で、土のうに砂を詰めたものを使うそうですが、今の体力ではそこまでは必要ないかな。ラッキング専用のプレートもあるみたいですがちょっと高い。。

撮影機材固定用のサンドバッグがお手頃と思ったんですけど、これは袋だけみたいです。別途砂を入れるなら厚手ビニール袋とダイソーのドライバッグでもいいかな……。

靴は履き慣れたものでいいとおもいますが、ラックサックマーチは体重の1割増し以上の重量で長時間歩くトレーニング。やわらかいランニングシューズなんかだと足首を痛めかねませんので、登山靴やコンバットブーツのようなハイカットでサイドが硬い靴のほうが向いていると思います。しかし硬い靴は慣れていないと逆にマメや靴ずれで歩くのがキツイかもなので、慣れるかランシューで怪我をしない強靭な足首を作るかのどちらかですね…。

靴のサイズにゆとりがあれば衝撃吸収系のインソールもいいと思います。この辺はお好みで。

ラックサックマーチのやり方

重りを詰める

初めの目安は「体重の15%以下」って見ましたけどまぁまず無理ですので、とりあえず5%を目処がいいと思います。体重50kgの方なら2.5kg、水のPETボトル2Lと500mlでOKです。一度やってみていけそうだったら500mlずつ増やすのもいいでしょう。

水で重量調節する場合、ボトルはきっちり満水にすることをおすすめします。チャプチャプすると余計な負荷がかかってイライラするし怪我の元です。

重りの詰め方

登山する人なら常識かもですけど、

  • なるべく身体の近く
  • なるべく上に入れる

目安は肋骨がある部分の背中側に重いものを入れるイメージです。つい下の方に重いものを入れがちですが、腰を痛めてしまうのでこれ大事です。ヤマハックのこの記事がわかりやすいのでリンク貼っておきます。

先程の2.5kgの例だとリュックの底の方にはフリースジャケットなんかを突っ込んで、その上に2Lを縦に置いて、外側の隙間に500mlを差し込むように積んでいくといい感じのバランスになります。登山用リュックで40Lくらいまでだと荷室の位置が最初から腰より高いものが多いので、特に意識しなくてもこんな感じになります。

で、先に上げたラッキングに向いていないリュックたちは、重いものを入れると身体から離れていき、身体に密着するように締めることも出来ないことから、こういった用途にはあまりオススメ出来ないです。

歩く

あとは歩くだけです。

下記サイトによると初めは体重の15%のウェイトを背負って3.2kmを1時間、これを週2~3回とのこと。速度は遅めですけど重さがかなりハードな感じが……。

Rucking For Beginners & Workout Plan – 2023 Guide | Ruck For Miles

もうちょっとお手頃な感じで、普段からウォーキングしている人であれば体重の5~10%のウェイトを背負って同じ距離・ペースから始めるのがいいのでは。それ以外だとまずは30分ウロウロしてみてはどうでしょうかね。

ラックサックマーチをやってみた結果

普段のウォーキングと比べて

私の場合は日常的に通勤はウォーキングで、毎日往復9km歩いています。Amazfitのスマートウォッチで心拍を測りながら歩いていますが、心拍ゾーンはリラックス状態のZ1、多少小走りの時でも有酸素運動ゾーンまで上がらないことがほとんどでした。消費カロリーは通常800kcalくらいです。

手始めに3kgの荷重でやってみたところ、ぎりぎりZ2まで上がるように。体感的な負荷はあまり感じなかったので、7kgまで増やしてみたら常時Z2以上な感じです。スマートウォッチの計測では1,050kcalの消費カロリーでした。たった7kgで2割くらい上がるのすごい。

ざっくり計算のサイトですけど、ラッキングで消費するカロリーの計算をしてくれるサイトもありました。

Rucking Calorie Calculator – Calories Burned Rucking | Ruck For Miles

ポンドなのでちょっとわかりにくいんですけど、私の場合「Rucking on Flat Surface (carrying 20 – 40lbs)(平地ラッキング 9kg~18kg)」 1.5時間で1,304kcal消費だそうです。これは若干アマアマな計算な気もしますが。

通勤でLSD出来たらいいけどジョギングはムリ、っていう私みたいな人にはラックサックマーチは理想的なトレーニング方法な感じがします。こまめに負荷の調整が可能なのもいいところですね。

防災訓練として

先日の地震で防災袋の見直しをして、1人の2日分の生活物資を防災リュックに詰めてみたところ、10kg程度ありました。

わが家には高齢者も1人居るので、その分みんなで分担してもそれぞれ12kgは超えるんですよね。最寄り避難所は2kmくらいあるので、普段デスクワークで運動していない妻だと、この重さと距離は厳しい。

家族が8kgくらいなら背負って歩けると想定して、減らした分を私のリュックに詰め込んで、25kg運べれば全員分の避難物資になる計算。

そんなわけで先は長いんですけど、今後は心拍数と相談しながら週に2kgずつ増やしてみて、3月末には20kg以上担いで歩けるようになりたいところですね。