動画を撮るようになって、改めて「画像センサーサイズは正義」と感じてます。アクションカメラも買ってみましたけど、やっぱり夜に弱いし背景ボケも欲しい……。ということで家にあるSony NEX-5Nで、工夫して動画撮影をしてみている記録です。

そもそもNEX-5Nってどんなカメラ?

ミラーレス一眼カメラ普及期の名機

高級機が一眼レフカメラしかなかった時代からミラーレス一眼カメラが広まり始めて数年後、ソニーが満を持して開発したセンサーサイズの大きいミラーレス一眼カメラとして「高感度で小型で軽量、レンズ交換も出来る」となってヒットしたカメラです。後継機のNEX-5Rは今でも中古市場で3万円弱で取引されている人気機種。純粋なカメラとしての性能面では5Nは5Rとそんなに変わりません。

主な機能

NEX-5Nの公式ページでスペックが見られますが、大まかに特徴を挙げると以下の通りです。

1610万画素

画素数が全てではないですけど、やっぱり多いほうがいいのは確かです。静止画のRAW撮影にも対応してますので、写真は今もバリバリ現役で、印刷用途でも使ってます。当時はネットショップ店長をやってたましたので、商品撮影にもバシバシ使ってましたね。毎週1000枚くらい撮ってたかも。

ISO25600対応

これが当時はすごかったんですよ、居酒屋でストロボを焚かずに撮影できるなんてあり得なかったんですから。高感度だからシャッタースピードを短く出来るので、光源が少ない室内で走り回る子どももそれなりに撮れる、ということでわが家では家族写真撮影用に購入したのでした。

動画撮影がすごい(当時)

あくまで当時の話ですが、フルHD60fpsプログレッシブでまともに見れる動画が撮れる唯一のDSLRでした。これはかなりのエポックメイキングだったと思います。実際ハンディカムも買うのは経済的に負担でしたので、これ1台で子どもの行事撮影にフル活用してました。

この時代は4Kはまだプロ用機材だけでした。今は4Kで撮れるスマホやアクションカメラが当たり前のように売られてますし、私も所有してます。録画ファイルの容量や編集のしにくさを考えると、家庭やYouTubeなどの用途ではFHDでいいかなという気もしてます、4Kで1時間撮ると40GBくらいなっちゃいますし。

センサーが高感度なのでシャッタースピードが抑えられる

蛍光灯の光がチカチカして写る、フリッカーという現象がありますが、これを抑えるにはシャッタースピードを1/50の倍数にする必要があります(東日本の場合)。シャッタースピードを優先すると暗すぎる環境も少なくないため、暗い場面では照明が別途必要なのが当たり前だったんですが、「ISOを上げれば意外と撮れちゃう」のがNEX-5Nでした。

まー今だと編集ソフトでフリッカー除去が簡単にできちゃうので、そこまで神経質にならなくてもいいんですけどね。


要するにフットワークの軽い、きれいに撮れるカメラなんですよ。

ここまで読むといい事ずくめのようですが、流石に発売から10年以上経ってますので最近のカメラと比べると、見劣りする部分もかなりあります。

あくまで「本体のみ」の不便なところですので、あとで私がやってる対策も書きます。

動画撮影するにあたって不便なところ

動画撮影ボタンが押しにくい

もともと動画はおまけみたいな位置づけなのでしょうがないんですけど、直径5ミリくらいの小さいボタンなんですよ。自撮りのスタイルだと押しにくさも倍増です。別売りのリモコンレリーズもカメラシャッターのみなので、押しにくいけど頑張るしかない。

自撮りが厳しい

Sonyのミラーレスカメラは初期から、液晶画面が上下にパカッと動くのが特徴でした。NEX-5Nは上80°・下45°まで動かすことが出来て、ローアングルやハイアングル時の構図決めに便利です。しかし、80°だと、レンズを自分に向ける自撮りでは全然見えないわけですよ。

NEX-5N公式サイトより

後継機のNEX-5Rはレンズ側に向くまでディスプレイが回るんですよね。あちらが未だに高値で人気なのはこれが理由だと思います。(Wi-Fi接続対応とかスマホシャッターとかヒカキンさんおすすめとか、他にも要素ありますけど)

そんなわけで、はみ出してて全然録れてなくて再収録とかザラです。

手ぶれ補正機能がない

ボディ内部には補正機能が一切ありません。つまり歩いてドリーとかはかなり厳しい。レンズ内補正には対応しますが、そういうレンズって本体より高いんですよね。

AFで動画撮影するとカチカチ音がする

NEX-5N、マイクはLR2系列で比較的音声もクリアです。しかし撮影時に謎のカチカチ音が入っちゃうんです。

オートフォーカスのモーター音という噂ですが、これがけっこう致命的。撮影時には人間の耳には全く聞こえないのですが、カメラ内部から直接マイクに入ってしまうようで、かなりでかい音でカチッカチッと録音されちゃいます。

ホットシューが独自規格・音声入力がない

もともとエントリーモデルですので他社製の高機能なストロボは対応しない前提だったんでしょうか、完全独自規格の「スマートアクセサリーターミナル」という接続端子付きのシューになっています。独自すぎて純正も含めてほとんど対応製品がない、ソニーからも見捨てられた死に規格です。

今はホットシューの規格を活用してリグを組んだりして各種カスタマイズをするのが一般的みたいですが、それが出来ないというのはデメリットですよね。そして音声入力も、この独自規格の端子経由の純正マイクしかないため(しかも超プレミアム価格)、AFのカチカチ音はカメラ単体では解決できないのでした。

高熱で停止する

夏場のスマホでもよくあると思いますが、負荷がかかりすぎると熱が捌ききれなくなって自動停止します。HFD60pで撮影時は気温20℃でも10分くらいで落ちます。落ちる瞬間には画面表示はされますが、音もなく落ちるので、録画されていないことに気づかないことも多いです。


きのこの試行錯誤のすべて

と、まぁ今でもきれいな動画が撮れるのは間違いないんですけど、一般的に求められる現代の用途に適しているかと言われると「NO」だらけの機種なわけです。しょうがないです、10年前の機種だから。

楽さを求めるなら素直にZV-E10とかに買い換えればいいんでしょうけど、安くはないですからね。どうにかしてNEX-5Nを動画撮影に使いたいと思って、いろいろ試してます。

AFのカチカチ音問題対策

音声別撮り

本体にはマイク入力端子はなく純正マイクも入手困難。ということで、カメラと別にPCMレコーダーやICレコーダー、スマホで録音して編集時に合わせるというのが一案です。別撮りのメリットは、カメラが落ちて回ってないときにも音声だけは録れているところですね。音声さえ入ってればインサート入れたりとかでなんとかなります。

残念ながら私のスマホは音声があまりきれいに録れないので、ICレコーダーを使用しています。

営業系のお仕事されてる方なら一度は触ったことがあるであろう、会議用ICレコーダー。私のは10年落ちですがバリバリ現役です。歌ってみたとかASMRとかでなければ音質はあとから修正でどうにかなります。「ちゃんと聞き取れるように録音される」という意味でICレコーダーでも充分です。

会議用ICレコーダーだと「会議モード」「口述モード」みたいのがあると思いますが、余計な背景の音を拾いにくい口述モードで使用することが多いです。こちらのICレコーダーはネジなどは切られていないのでテーブル直置きで使用しています。そのため、コップなどを置く音が低音でガツンと入っちゃうのが困ってるところ。

来月マイナポイントが入る予定ですので、評判の良いTascamのTR-07を購入して、カメラかミニ三脚に乗せる形で使ってみたいと思ってます。

AFを使わない

音声レコーダーが無い場合は、撮影スタイルがかなり限定されちゃいますけど、「AFを使わない」というもの手です。実際マニュアルフォーカスだとカチカチ音は入らないし、電池の持ちもめちゃくちゃ良くなります。

私の動画の場合はメインの被写体がそんなに動くものではないので、食べるシーンやインサートのアップ動画はマニュアルフォーカスのみで撮ってます。(厳密にはダイナミックMF 最初のフォーカスはシャッター半押しのオートであわせてフォーカスリングで調整出来るっていうセミオートなモードです)

絞った画ならそこまでフォーカスは気にしなくていいんですけど、それだと「スマホでいいや」ってなっちゃうんですよね……。開放大きめで手前ボケを活かして撮ろうと思うとピントが合ってるかどうかの確認が必要になりますので、ディスプレイを前側から見えるようにする、本体カスタマイズの方法も同時に必要になってきます。

独自規格シュー問題

本体カスタマイズの前に、まずはそれを取り付けるためのここです。こいつをホットシューに変換するアダプターがAmazonなどで購入できます。

怪しげな中華製品ですが、作りはしっかりしていてガタツキも無し。ストロボなど電子的な動作が必要ないものなら大丈夫そうかな、今のところトラブルはありません。

自撮りでディスプレイ見えない問題対策

お金をかけずにできる方法として、ディスプレイに写っている背景をもとに「どのへんまでフレームインしてるか」を想像して撮影してました。どのみち喋る時はレンズをみて撮りますので、「どう写っているか」を意識する練習にはなりましたね。

そんなに動く撮影ではないのでそんなもんでもかまわないんですけど、はみ出してて撮り直すことは多いです。そのため1カットで5テイクとかもよくありますので、あんまり効率は良くないです。台本を噛まなきゃ2~3テイク減るんでしょうけど。

もうちょっと効率よく撮りたいなと思って方法を探してみたら「ディスプレイが水平までしかいかないなら鏡で写せばいいじゃない!」という大変アナログで物理で殴るソリューションが商品化されています。

ミラーレス機にミラーが乗っているこの矛盾、おわかりいただけるだろうか……?

これも怪しげな中華製品ですけど、きちんとホットシューに嵌まって、ディスプレイが見えればそれでいいパーツですのでこだわりはナシです。

この製品はおそらく昼でも見やすいようにフード付きになってるんだと思いますが、自分がど真ん中に映る日の丸構図でしか画面が見えないというデメリットに気づきました。人物メインのVloggerならこれでもいいんでしょうけど、私の用途ではちょっと不便。

撮影環境によりけりですが私の場合は室内がほとんどになりそうですし、ど真ん中に映ることがほぼ無いのでフード無しの製品も気になってます。

まぁまぁのお値段なのですがそのうちポチると思いますので、使い心地はレビューしたいと思います。

手ぶれ補正がない問題対策

「揺らさないようにゆっくり動く・歩く」

これが最適解だと思ってます、もうどうしようもないので。ある程度の手ブレは編集ソフトで補正できますのでね。ただそれでもアクションカメラみたいなヌルヌル映像を撮りたいと思って、こういうものも買ってみました。

ハンドヘルドのステディカムです、これも中華ブランドのNeewer、Amazonで6000円くらいでしたかね。

滑りが良すぎてコントロールが難しく、満足行く撮影にはかなりの練習が必要だと感じます。そしてステディカムを使用してもゆっくり動作は必要ですので、また三脚よりデカいので、荷物が大きくなりすぎるのが欠点ですね。こちらの動画の移動シーンで実験的に使用してみました。

もっと使い慣れていけばそこそこの画は撮れるようになるかも。アクションカメラも買っちゃいましたけど、暗い場面ではこっちのほうが断然キレイでした。

高熱で停止する問題対策

なにぶん2011年のカメラです。調べてみたらPCのCPUだと10世代前のSandyBridge、WIndows7が発売された2年後です。YouTubeも2010年からフルHD対応だったということで、当時としては相当な高画質・高負荷だったのでしょう。実際、FHDで撮影した家族動画の編集が激重で困った記憶があります。

高温の原因が高負荷なので、画質を落とすことで対応可能です。長尺で録画するときは24fpsで撮影しています。編集時にスローで再生とかは出来なくなりますので、エンタメ系の動画だと厳しいのかな。

バッテリーの熱もあるのかなと思っています。なのでUSB給電できるダミーバッテリー+モバイルバッテリーで、熱停止が改善しないかも試してみたいですね。


という感じでなんとか使ってる感出てますけどね、上に挙げた動画はほぼ全編NEX-5Nで撮影したものです。

動画見てもらえればわかると思いますけど、ちょっとの工夫でNEX-5N、今も普通に使えます。撮影はどんなイイ道具を使っても工夫は必要ですので、スタート地点はこういうカメラやスマホでもいいんじゃないかな?という提言でした。