9月のシルバーウィークも台風直撃の予報で、屋内トレーニングが捗りそうな雰囲気。愛用のスピンバイクをご紹介します。

そもそもスピンバイクって?

屋内用のフィットネス用自転車のうち、より高強度なトレーニングが行えるのが「スピンバイク」、低負荷トレーニング専用なのが「エアロバイク」と呼び分けられています。

自転車を本格的に練習する人だと各種ローラー台も候補に挙がると思いますが、

  • 音がほとんど出ない
  • 自転車がなくてもできるから家族と共用しやすい
  • 自転車で床を汚す心配がない・パーツが摩耗しない

などなど、ローラー台にはないメリットが結構あります。特に静音性に関してはシッティングで漕いでいる間はヤカンの沸いてる音くらいのシューシュー音ですので、家族から文句が来ることはまず無いです。

エアロバイクとの違い

家庭用で室内用フィットネスバイクというと「エアロバイク」というものを指すことがほとんどだと思います。エアロバイクはペダルを回すことで小さな金属の円盤をチェーンやベルトで回転させマグネットで負荷をかける構造になっています。重量が軽く小さくて扱いやすいのですが、

  • 負荷がかなり軽すぎる
  • 30分以上連続して使用できない
    • 負荷調整のマグネットが壊れる

など、日頃からヒルクライムやロングライドを嗜んでいる我々自転車乗りの練習には、かなーり物足りないものとなります。1時間位は踏みたいよね。

エアロバイクのホイールはフリー式で、一般自転車同様にペダルを止めても回転し続けるものが多いので、自転車に乗れる人ならすぐに違和感なく乗れます。

対するスピンバイクはフライホイールという重い円盤を回すことで継続的に負荷がかかる仕組み。ピストバイクのように円盤とペダルは直結されており、ペダルを止めたいときは回しながらゆっくり逆回転方向に力を加えていって止める方式です(大体のモデルでは手で押すブレーキボタンもついてます)。

スピンバイクにも2種類ある

フライホイールを回転させていくと慣性が働いて、回し続ける力はどんどん軽くなっていきます。それ自体を回す重さだけでは運動として抵抗が少ないため、さらに負荷をかけて実走に近い強度の練習ができるようになっています。スピンバイクの中にも種類がありまして、負荷のかけ方で2種類ありますがサイクリスト向けは摩擦式のほうがオススメです。

マグネット式

フライホイールの回りに配置されたマグネットの磁力で負荷をかける方式。ハイエンドモデルではトレーニングメニューにあわせて自動的に負荷調整してくれるものもありますが、お値段はかなりなものです。

エアロバイクよりは高負荷が掛けられますが、摩擦式よりは負荷少なめ。連続走行は30分~1時間となるため、ショートトレーニング向きです。「有酸素で今日は1500kcal消費するぞー」とかは……出来なくはないんですけど、30分おきに30分くらい休ませないといけないので、ウォームアップからやり直し感があるので向いてないです。

摩擦式

これがサイクリスト的大本命。フライホイールにアスファルトフェルトを押し付けることで負荷を調整するタイプです。

摩擦式の負荷ユニット。フェルトがちょっとずつすり減っていく。

押し付けた分だけ負荷が強くなり、MAX負荷はリムブレーキのフルブレーキングレベルの負荷がかけられます。アナログゆえの負荷の微調整が可能です。摩擦がかかっているので長時間漕いでいるとフライホイールはアツアツになりますが、マグネット式と違って熱くなっても性能劣化しませんので、何時間でも、好きなだけ漕げます。

デメリットはフェルトが減るところ。ちょっとずつ毛羽立って抜けていき、3ヶ月の使用で新品の7割くらいの厚さになってますので、代替1年位で交換する必要がありそうです。

きのこのオススメスピンバイク

スピンバイクでは加速する際にフライホイールの重さの分の抵抗がかかる原理です。フライホイールが重いほうが負荷が強くかけられます。とは言っても負荷ゼロの状態なら小学生でも余裕で漕げますので、重いものを買ったほうが後悔しないと思います(設置は大変ですけどね……)。スポーツバイクに乗っていて1日に30km以上走れる人なら10kg以上のものを、ヒルクライム練習したいなら12kg以上はあってもよいかと思います。

わが家のスピンバイクはアルインコ BK1518。これをオススメします。

最安クラスのスピンバイクながら、フライホイール13kgでかなりの高負荷をかけられます。もっと安い摩擦式スピンバイクもありますけど、中華闇商品だと消耗部品が手に入るか微妙なので、ある程度ちゃんとしたメーカー製のほうが長く使えると思います。ALINCOは脚立などでも有名な、ちゃんとした日本企業です(ものは中国製造みたいです)。

移動時のキャスター付きで、居間に設置して使わないときは壁際にガラガラっと押して置いといてます。全く邪魔にならないわけではない、けれども移動できるから許容範囲かなって感じです。

標準で付属するペダルはトゥークリップつきのプラスチック製。

付属のペダル。外して自転車の方につけました。

スニーカーやランニングシューズを履いて使用することを想定しているようで、室内でソックスのみだと滑り止めの鋲が痛そう。この機種のクランクはスポーツ車・一般車のペダルと同じ9/16インチ規格のネジが切ってありますので、フラットペダルだけでなく、SPDやSPD-SLペダルに交換してのトレーニングも可能です。

わが家ではソックスで漕ぎますので、ペダルは突起のないベルトクリップタイプに交換しています。

この機種の唯一のデメリットなんですが、サドルが痛いです。ママチャリ風の幅広形状なんですが、底に鉄板が入ってるため姿勢が起きているとすぐに底突きして坐骨がかなり痛い。サドルの取付部・シートポストとも独自形状なため、一般的な部品ではサドル交換は不可です。いろいろ改造を試みてますが、ここだけはどうにもなってないです。

前傾強めのポジションで尻への荷重を減らすように乗っていますが、家族はサドルに高反発クッションをのせてから乗るなどしてます。

各種センサーをつけて近代化改修

こちらのALINCO BK1518は標準付属するディスプレイでは速度・距離・消費カロリーは表示できますが、心拍は無し。

消費カロリー表示は負荷を変えても増えないため、単純に速度と時間で大まかなMETs値から消費カロリー計算をしているような雰囲気です。METsでの消費カロリー計算には定数として体重が必要ですが、このディスプレイには体重の設定すらないので、ほんとに参考値ですね。体重50kgの人が最大心拍50%で踏み続けたの時の消費カロリーに近い数値になってます。

走行距離は99.9km、走行時間は99分99秒、消費カロリーは999kcalでカンストして0からになります。2~3時間漕ぐこともあるサイクリスト的には全然足りないです。

消費カロリーに関しては心拍数を測ることができれば精度の高い計算が可能になります。また走行データはサイコンやスマホアプリで測れたらいいですよね。ついでにStravaにデータを飛ばしたいところですよね。

これらも比較的安価な自転車用センサーをポン付けで手軽に対応できます。

必要なもの

使うのはCooSpoの回転センサー BK467。ケイデンス計測と速度計測で2個必要です。2022年9月時点、Amazonでは2個セット4,300円でした。ちょっと値上がりしたような?嫌ですねぇ物価上昇。

回転センサーはこのメーカー以外にもXOSSなどのブランドでも同様な製品がありますし、すでにお持ちなら自転車から流用も可能です。

それと心拍計もあった方がダイエット目的でもトレーニング目的でもよいです。胸バンド式は見た目で抵抗ある人が多いかもですが、安価なのに正確で電池も長持ちします。圧迫感がイヤだという人も多いみたいなので、腕バンド式とお好みで選んでください。

回転センサーの付け方

この回転センサータイプのスピード/ケイデンスセンサーは、本来ペダルのバー部分のクランクと、ホイールの中心にあるハブへゴムバンドで装着して計測するセンサーです。電池を入れ直すとケイデンスモードとスピードモードが切り替わります。インジケーターのLEDが赤く光るとスピードモード、青く光るとケイデンスモードです。

一個はケイデンスモードにして本来の使用方法通り、付属のシリコンバンドでクランクへ。このクランクはほぼ垂直で、表側につけるとくるぶしが当たるので、クランク裏側につけたほうがよいですね。

クランクにつけるケイデンス側センサー

もう一個はスピードモードにしてフライホイールにつけたいところですが、一枚の金属板になっていてハブに相当する部分がありません。軸の保護カバーと思しき黒いプラスチックのカップへビニールテープで巻き巻きして固定でいけます。遠心力で吹っ飛ばないように3周くらい巻けばバッチリ。

ビニールテープを巻いてしまうとモードが分からなくなるので、事前に確認重点。

ゴムバンドで留められれば電池交換のときにも簡単なんでしょうけど、柔らかいためすぐ外れてしまいます。ただまぁ3ヶ月ほぼ毎日1時間使ってますが、まだ電池切れは経験してないくらいに電池が持ちますので、ビニテで十分じゃないかと。

見た目は黒に黒なので遠目にはわからないくらい。妻は気づいてませんでした。

使い方

ここまで来ましたら標準装備の簡易サイコンは用済みです。スマホ台として余生を過ごしてもらおう。

あとはお手持ちのサイコンかスマホアプリでセンサーをペアリングすればバッチリです。

私はスピンバイクのときはスマホアプリのWahooFitnesを使っています。ダイエット用の低めの強度やヒルクライム練習のちょっとキツめの強度など、心拍表示が見やすい表示モードがあってコンディションを作りやすいのでオススメです。無料。

このスピンバイクはペダルのネジがロードバイクと同じ規格なので、パワーメーター付きペダル+ビンディングシューズも使えばZwiftもできちゃいますね。おそらく最安のZwift構成になるんじゃないでしょうか、負荷は手動ですけど。

スピンバイクの効能

で、スピンバイクって痩せる?

間違いなく痩せます。

スピンバイクを購入したのが6月、体脂肪率25.6%でした。最大心拍数の80%の中強度トレーニングをほぼ毎日1時間やったところ、9月半ば時点で23.7%。約2%の体脂肪が落ちています。

9月は涼しくなってきて負荷強めにトレーニングしてましたので、グラフで見ると体脂肪は減ってますがむしろ筋肉で体重が増えてますね。もちろん、負荷を強くしすぎず軽い有酸素ペースを目標にしてペダリングを調整していけば、筋肉はつけずに脂肪だけ落とせると思います。

ちなみに体組成計はELECOMのWiFiモデルを使ってます。クラウドに自動でアップロードしてくれて専用アプリでグラフ表示してくれるのがめちゃくちゃありがたい。これも今度紹介します。

食事制限はしてません、食べたいものを食べてます。オフィスワークのくせに毎日3000kcalくらいのドカ食いをしてますが、それでもこれだけ痩せます。

で、スピンバイクって速くなれる?

強く速くなれるか、というのはトレーニングの内容と頻度次第なんでなんとも言えないですけれど、内容の意味でいうと、実車走行とは多少違う漕ぎ方にはなりますので、スピンバイクだけやってると逆に遅くなってしまうところもあるような気はします。例えばバイクコントロールとかペース配分とか……。

実際、この8月は天候不順と猛暑だったのでほぼスピンバイクだけだったんですが、なまじ筋力だけ付いてしまって、持久力とのバランスが良くなかったなと感じました。

しかし登りに瞬間的に出すようなパワーを持続して出すようなトレーニングは、ロケーションが限られるので実車では難しいですよね。心拍数やパワーを基準に自由なタイミングで追い込む事ができるというのはありがたい強みと思います

悪天候でもヒルクライムのような高強度トレーニングが自宅で、なおかつ2~3万の出費でできるのは、頻度の面ではかなりメリットあるんじゃないかと思っています。特にここは雪国なので、これからがむしろ活躍のときなんじゃないかと。

スピンバイクの注意点

安くて静かで効果大といいことづくめっぽいスピンバイクなんですけど、本体がめちゃくちゃ重いのだけは注意が必要です。

アルインコ BK1518は本体重量が30kg。私、重量級でパワーある方だと思うんですけど、玄関引き渡しで2階のリビングに上げるのにはかなり苦労しました。女性ひとりだと玄関のかまちに乗せるだけでもかなりキツイと思いますし、組み立てもちょっと大変ですので、あらかじめ手伝ってもらえる人を確保しておくことをオススメします。

組み立ててしまえばキャスターでガラガラ移動できますので、普段の使用・片付けにはそれほど腕力は必要ないです。

あと回転するときに音がしないとはいっても、ダンシングでガンガン揺さぶると床自体がミシミシ鳴りますし揺れます。そういう漕ぎ方をする予定の人は、トレーニングジム用の防音防振マットも引いたほうが良いかもです。